心に直球!球児たちの言葉
「2015年夏...挑戦」。番組『D-Sports』が、今年の高校野球取材で掲げたテーマです。
テレビの取材では、試合はもちろんですが、インタビューが選手の表情や息づかいを伝えられる重要な部分。この夏、「挑戦」をし続けた高校球児は、こんな言葉を残してくれました。
3季連続で甲子園の切符を手にした静岡高校。安本竜二主将(3年)は、いつも冷静に「一つひとつ、目の前の試合を戦う」とコメント。しかし何が起こるかわからない高校野球。「絶対王者」と呼ばれる中で戦うプレッシャーはとても大きかったはずです。
優勝が決まった瞬間の気持ちを聞かれると、少し笑顔になり、「頭の中が真っ白になって、無邪気にマウンドに走って行って、その上に立っていた」と答えました。キャプテンが、重圧から解き放たれた瞬間だったのだな、と感じました。
「ここまで成長できたのは静岡高校という目標があったから。最後にしっかり自分たちの野球ができた」。日大三島高高校、小澤令史投手(3年)の敗戦直後の言葉です。小澤投手は152キロの速球を投げるプロ注目の投手。昨年の秋に2度、静高に敗れてから、練習はすべて静高に勝つためでした。3度目の挑戦となった県大会2回戦、5対2で敗れ、その悔しさはどれほどだったか...。その中でライバルに敬意を表した言葉は、心に響きました。
準々決勝、磐田南高校と知徳高校試合。磐田南は、創部初のベスト4への挑戦でした。試合は延長15回でも決着がつかず、引き分け再試合へ。試合後、泥だらけのユニホームで地面に座り込む磐田南の選手たち。そこで聞こえた言葉は「大好きな野球が、またできっるじゃないか!」。一気に選手に笑顔が戻り、私たちも笑顔になりました。
翌日の再試合、磐田南は2対1で勝利して部の歴史を塗り替えました。
この雑誌が店頭に並ぶころ、全国大会は大詰めを迎えています。甲子園でも「挑戦」を続ける高校球児たち、夢の舞台でどんな言葉を残してくれるのか。楽しみにしたいと思います。
2015.07.30小野寺Pの番組ウラ話野球